「10年後のキャリアプラン」という設問に対して、多くの学生が「その企業でのキャリアプラン」と受け止めがちです。もちろん「10年後、当社でどのように活躍していると思いますか」と明記されていれば、その企業内での未来像を描く必要があります。しかし、特に注釈がない場合は、自分の職業観や将来の働き方に対する考え方を述べれば十分です。
将来像は少々夢物語でも大丈夫
この質問では、これから仕事とどう関わっていきたいのか、自分は何をしたいのか、自分に何ができそうなのかを語ることが大切です。多少夢のような内容でも問題ありません。大切なのは、その夢を実現するためにどのような道筋を考え、達成に向けてどんな決意を持っているのかを伝えることです。その姿勢が読み手の心に響きます。
実務経験がなくても誠実に答える
学生にとっては、実務経験がないため「何がしたいのか」「何ができそうか」がすぐには思いつかないかもしれません。その場合は、無理に取り繕う必要はありません。素直にその気持ちを伝える方が、かえって誠実さが伝わります。
成功例と失敗例
失敗例(NGな書き方)
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「10年後には管理職になってバリバリ働いています。」
👉 意欲は感じられますが、抽象的すぎて説得力に欠けます。「どう成長したいか」が見えません。 -
「10年後のことは分かりません。」
👉 正直ではありますが、無関心に受け取られてしまい、マイナス評価につながります。
成功例(良い書き方①:段階的に成長を描く)
「入社して最初の3年間は、現場での仕事を通じて基礎を身につけたいと考えています。5年後には、自分の強みを活かせる分野を見極め、チームを支える立場として貢献したいです。そして10年後には、リーダーとしてプロジェクトをけん引し、成果を出せる人材になっていたいです。」
👉 3年後・5年後・10年後とプロセスを具体的に描いているため、成長意欲がリアルに伝わります。
成功例(良い書き方②:挑戦意欲を前面に出す)
「まだ就業経験がないため具体的に自分にできることは分かりませんが、OB訪問を通じて営業職の仕事に関心を持ちました。入社後はまずお客様に信頼いただける人材を目指し、5年後には後輩を指導できるようになりたいです。10年後には、多くのお客様から信頼される存在として会社に貢献していたいです。」
👉 実務経験がないことを正直に示しつつ、挑戦する姿勢と成長の方向性を伝えています。
成功例(良い書き方③:夢をベースに誠実に語る)
「私は大学時代に海外留学を経験し、異文化交流に強い関心を持ちました。入社後は国内業務を通じて基礎を固め、その後は海外拠点にも挑戦したいと考えています。10年後には、グローバルな環境で異なる文化をつなぐ役割を果たせるような人材になっていたいです。」
👉 自分の経験(留学)と未来のビジョンを結びつけているため、説得力があり熱意が伝わります。
「10年後のキャリアプラン」は、完璧な答えを用意する必要はありません。
大切なのは――
- 自分の価値観(自分軸)を示すこと
- 段階的に成長する姿を描くこと
- 実務経験がなくても挑戦意欲を示すこと
この3点を意識すれば、誠実で前向きなキャリアプランになります。
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