長所と短所を一言で言うと、「気に入っている個性が長所」「直したいと思っている個性が短所」と言えます。長所のアピールは比較的しやすいのですが、短所となると「どう書けばよいのか」と悩む方が多いようです。あまりストレートに書いて誤解されるのは避けたい、かといって作り話をするわけにもいかない――就活生にとって難しいテーマの一つです。

誰しも欠点はあります。たとえば「時間にルーズ」「短気で衝突しやすい」といったものは、集団生活や仕事においてはマイナスに受け取られがちなので避けた方が無難です。ただし、集団生活で許容される範囲の短所であれば、そのまま記述しても構いません。

表現に迷う場合は、長所の裏返しを短所として表現する方法がおすすめです。たとえば「面倒見がよすぎて、ついおせっかいになってしまう」といった形です。これは、相手に「バランスの課題はあるが根本はプラスの要素」と伝えることができます。


表現で注意したいこと

エントリーシートは、面接の前に提出するのが一般的です。つまり、人事担当者は記述内容からしか学生の素顔を判断できません。そのため、きつい表現やネガティブな言葉は避けることが重要です。

特に注意が必要な言葉:

  • 「優柔不断」
  • 「無鉄砲」
  • 「あきやすい」

本人は控えめさや挑戦心を伝えたいつもりでも、読み手にとっては強いマイナスの印象になります。とくに「優柔不断」は「煮え切らない学生」と捉えられてしまい、不利になることもあります。


成功例と失敗例

失敗例(NGな書き方)

長所:「協調性があります」
短所:「優柔不断なところがあります」

👉 抽象的すぎて具体性がなく、「優柔不断」という言葉が強すぎてマイナスの印象を与えてしまいます。


成功例(良い書き方①:長所の裏返し)

長所:「人の意見をしっかりと受け止め、調整役に回ることが得意です」
短所:「人の意見を尊重しすぎて、自分の考えを伝えるのが遅れてしまうことがあります。ただ、最近は意識的に自分の意見を先に提示するよう心がけています」

👉 短所を素直に認めつつ、改善の姿勢を示しています。人事担当者にとって「成長できる学生」という前向きな印象につながります。


成功例(良い書き方②:努力のプロセスを加える)

長所:「物事を計画的に進めるのが得意で、期限を守ることには自信があります」
短所:「計画にこだわりすぎて柔軟さを欠くことがあります。そのため最近は、予想外の出来事にも対応できるよう、代替案を考える習慣をつけています」

👉 長所と短所がつながっており、しかも改善努力が具体的。読み手は「この学生は自己分析ができている」と好印象を抱きます。


長所・短所は、あなたが「自分をどう理解し、どう改善していこうとしているか」を伝える絶好のチャンスです。短所を書くときはネガティブに書きすぎず、「改善努力」や「長所の裏返し」として表現することで、前向きな印象を与えることができます。

誠実に、そして等身大で表現すれば、必ず人事担当者に好意的に受け止めてもらえます。


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