秘書検定1級、パソコン検定2級、簿記3級、FPなど、スペースからはみ出すほど資格を列挙しているエントリーシートを見かけることがあります。これでは「目的を持って取得したのか」よりも「資格コレクターなのでは?」と疑われてしまうことがあります。

資格を多く並べれば選考が有利になる、というわけではありません。資格は、その資格がビジネスや応募企業の業務に直結してこそ意味を持つのです。


資格を書くときの工夫

資格を記述する際には、特に力を入れて取得したものを一つ選び、その動機や努力の過程、苦労した点などを一言添えると、読み手に強い印象を与えることができます。

スペースに余裕がある場合は、その他の取得資格を簡潔に併記する程度で十分です。


免許の記載について

教職課程を履修している学生が「教員免許取得予定」と記載することもあります。教育職を志望するなら必須ですが、一般企業では「合格すればそちらに進むのでは」と誤解されるリスクがありますので注意が必要です。

一方、運転免許は多くの業種で歓迎されます。特に営業職や地方勤務の可能性がある場合には有利になることもあります。普通免許だけでなく、原付バイクの免許でも記入して構いません。企業に安心感を与えられます。


特技について

特技は、必ずしも特別な資格や免許に限らなくても構いません。自分の人柄を表すものや、趣味を通じて培った力も立派な特技として記入できます。たとえば「書道で集中力を養った」「ダンスで表現力を磨いた」など、具体的に伝えることで個性をアピールできます。


成功例と失敗例

失敗例(NGな書き方)

  • 資格:秘書検定1級、パソコン検定2級、簿記3級、FP3級、漢字検定2級、TOEIC600点…
    👉 多く列挙していますが、動機や活用方法が書かれていないため、ただの資格コレクターに見えてしまいます。
  • 特技:サッカー、ピアノ、旅行、読書
    👉 単語の羅列では人柄が伝わらず、「広く浅いだけ」という印象になってしまいます。

成功例(良い書き方①:資格)

  • 資格:日商簿記2級
     「会計知識を基礎から学びたいと考え、大学の授業と並行して独学で勉強しました。特に工業簿記に苦戦しましたが、毎日欠かさず過去問に取り組み、合格できました。この努力を通じて、継続力と計画的に学ぶ姿勢を身につけました。」

👉 資格の背景や努力を伝えることで、「忍耐力」や「計画性」という強みが伝わります。


成功例(良い書き方②:免許)

  • 免許:普通自動車第一種運転免許
     「大学時代に地方の企業でインターンシップに参加した際、車での移動が不可欠でした。その経験から、社会人になっても活動範囲を広げられるように免許を取得しました。」

👉 単なる免許取得にとどまらず、「社会人として必要だから努力した」という姿勢が伝わります。


成功例(良い書き方③:特技)

  • 特技:書道
     「小学3年から大学まで継続して取り組んでおり、現在は有段者です。集中力を高めることができ、また文字の美しさは人に安心感を与えると考えています。丁寧さと根気強さを活かし、仕事にも誠実に取り組みたいと思います。」

👉 特技を単なる趣味で終わらせず、「社会人として活かせる力」に結びつけています。


資格・免許・特技は「数」ではなく、その背景や活用方法をどう伝えるかが大切です。

  • 「なぜ取ろうと思ったのか(動機)」
  • 「どんな努力をしたのか(過程)」
  • 「何を得たのか(学び・成長)」

この流れで記述すれば、あなたの努力や人柄がしっかりと伝わります。


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