就職ガイダンスなどで「日経新聞を読みなさい」と指導されることがあります。しかし、普段から新聞を読み慣れていない学生にとって、いきなり日経新聞を手にしても内容を十分に理解してポイントを押さえるのは難しいものです。
昔は「朝日」「読売」「毎日」といった一般紙を読めば十分とされていましたが、現在はニュースの入手経路が多様化しています。新聞に加えて、NHKや民放のニュース番組、各種ニュースアプリ、さらには企業公式のプレスリリースやSNS発信などからも信頼できる情報を得ることができます。大切なのは、一つの情報源だけに頼らず、複数の視点からニュースを知る習慣を持つことです。
ニュース選びで見られているポイント
学生の多くは「これを取り上げたら誤解されるのでは」「知性を疑われないだろうか」と余計な心配をして、無難にテレビやネットで話題のトピックを選びがちです。もちろん時事問題を題材にするのも悪くはありません。しかし解説をなぞっただけでは「評論」になってしまい、自分の意見や感性が見えなくなるという落とし穴があります。
人事担当者が本当に知りたいのは、ニュースそのものよりも、
- なぜそのニュースに関心を持ったのか
- そこから自分が何を考え、どう感じたのか
といった学生自身の価値観や物事の捉え方です。
成功例と失敗例
失敗例(NGな答え方)
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「最近は円安が話題になっており、日本経済に影響が出ています。輸入コストが増加し、消費者物価にも影響しています。」
👉 これはニュースの要約でしかなく、自分の考えが一切見えてきません。
成功例①(身近さを起点にする)
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「最近の円安に関するニュースが気になりました。大学で経済学を学んでおり、授業で習った内容が実際の社会とつながっていることを実感したからです。特に輸入品の値上がりが身近な生活にも影響していることから、経済の変化を自分ごととして考えるようになりました。」
👉 なぜ気になったのか(学びとのつながり) と 何を感じたか(生活との関係) を伝えていて具体的です。
成功例②(小さなニュースから感性を示す)
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「地域の小学校で、子どもたちが高齢者施設を訪問して交流したという記事が印象に残りました。小さな出来事ですが、人と人とのつながりが社会を温かくすることを改めて感じ、自分も将来の仕事を通じて地域に貢献したいと思いました。」
👉 規模の小さいニュースでも、感性や価値観を伝えられます。
成功例③(複数の情報源を組み合わせる)
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「最近のAIに関するニュースに関心があります。新聞記事だけでなく、企業の公式発表やSNSでの議論も追いかけることで、多角的な見方ができるようになりました。社会の変化を幅広く理解することで、今後の仕事に役立てたいと考えています。」
👉 新聞以外の情報源も取り入れている点 が現代的で、積極的な学びの姿勢が伝わります。
「最近、気になったニュースは何ですか」という設問は、知識を試すものではなく、あなたの感性や考え方を知るための質問です。新聞でなくても、ニュース番組やアプリ、ネット記事などから得た情報で構いません。大切なのは――
- そのニュースを選んだ理由
- そこから自分が何を考え、何を感じたのか
を自分の言葉で伝えることです。
どんな小さなニュースでも、自分の価値観を映し出す題材に変えることができます。安心して、あなたらしい答えを用意してください。