「どういう学生生活を過ごしましたか」と聞かれていると理解して大丈夫です。たとえば「ゼミでこんな研究に取り組んでいる私」「サークルでこういう活動をしている私」といったように、自分の素顔や自分軸を人事担当者に届けることが大切です。記述内容から、採用担当者は「自社にふさわしい人材かどうか」を判断します。学生がすべきことは、判断材料を提示すること。立派に脚色した体験や特別に華やかな実績を並べる必要はありません。
グループワークのエピソードの場合
グループで取り組んだ経験を書くときには、仲間とどのように関わり、どんな気持ちで進めてきたかを伝えることが重要です。大きなテーマであればあるほど、順調には進まないものです。途中で失敗や失望、苛立ちや挫折といった葛藤を味わうこともあります。それをどう乗り越え、仲間と力を合わせて目標に向かったのか――連携プレイや役割分担を具体的に書くと、チームの中での自分の姿が伝わりやすくなります。
ゼミ・サークル以外の経験も大切
ゼミやサークルだけでなく、ボランティア活動も立派な題材です。なぜその活動に興味を持ったのか、その動機を語ることで学生の本質が浮かび上がります。活動の中で戸惑ったことや苦労したことがあれば、それとどう向き合ったのかを素直に伝えると、読み手はあなたの人柄を感じることができます。人事担当者は、そうした“等身大の姿”から安心して判断を下すことができるのです。
アルバイト経験について
「アルバイト体験は使わない方がいい」という噂を耳にすることもあります。しかし、実際には書き方次第で大きなアピール材料になります。
たとえば「コミュニケーション能力を養った」とだけ書かれていても、「どう養ったのか」「そのために何を工夫したのか」が伝わらなければ、読む側には何も残りません。行動の羅列だけでは人事担当者は飽きてしまいます。
しかし、自分を前面に押し出し、「アルバイトでどんな課題に直面し、どう取り組み、自分がどう変わったのか」を具体的に書けば、立派なエピソードになります。単なるアルバイト経験ではなく、あなた自身の成長の物語として語ることが大切です。
回答例
例1:ゼミ活動
「ゼミ活動では『地域活性化の取り組み』をテーマに研究しました。調査を進める中で、住民の方々との意見交換が思うように進まず、当初は壁にぶつかりました。しかし、ゼミ仲間と協力し、アンケートの質問内容を改善するなど工夫を重ねた結果、より多くのデータを集めることができました。この経験を通じて、“問題は工夫次第で必ず突破口が見つかる”ことを学びました。」
例2:サークル活動
「私はテニスサークルの運営に力を入れました。会員数が増えたことで練習コートの確保が難しくなり、不満の声が上がりました。そこで役員と話し合い、コートの予約方法を見直し、全員が公平に使える仕組みをつくりました。その結果、サークル全体の雰囲気が改善し、より活発に活動できるようになりました。課題を整理し、解決策を提案・実行する力を身につけられたと感じています。」
例3:アルバイト経験
「飲食店でのアルバイトを通して、“お客様に喜んでいただくための工夫”に力を入れました。特に忙しい時間帯は注文の伝達ミスが発生しやすく、スタッフ間で混乱することが多くありました。そこで私は、注文を整理するチェックリストをつくり、共有する仕組みを提案しました。結果、ミスが減り、お客様からも『スムーズになった』と声をいただけるようになりました。働く中で“自分の工夫が周囲に良い影響を与える喜び”を強く実感しました。」
例4:ボランティア活動
「私は子ども食堂でのボランティア活動に力を入れました。最初は子どもたちとどう接すればよいか分からず戸惑いましたが、相手の目線に立ち、一緒に遊ぶことから始めました。その結果、少しずつ打ち解け、笑顔を見せてくれるようになりました。活動を通して、“相手を理解しようとする姿勢”の大切さを学びました。この経験は、今後の人との関わりにも生かせると考えています。」
学生生活で力を入れたことは、華やかな実績でなくてもかまいません。動機 → 取り組み → 困難 → 工夫 → 学び という流れを意識すれば、どんな経験も魅力的なエピソードになります。
大切なのは、等身大の自分を誠実に伝えること。あなたの姿勢や考え方は、必ず人事担当者の心に届きます。
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