エントリーシートは「あなたらしさ」を映す鏡です

エントリーシートは、学生の皆さんの「本質」を伝えるための大切な書類です。きれいに整った文章や格好の良い表現を並べるよりも、心からの想いをまっすぐに届けることが一番の近道です。

たとえば、ある学生さんはサークル活動での失敗を正直に書きました。大きなイベントを任されたものの準備不足でうまくいかず、メンバーから厳しい指摘を受けた経験です。けれども、そこで「なぜ失敗したのか」「どう改善したのか」を丁寧に振り返り、自分なりの学びを書き添えました。その結果、「誠実に自己分析ができる人だ」と評価され、無事に内定につながりました。完璧な成功体験ではなくても、そこに込められた“人間らしさ”が伝われば強い武器になるのです。


小さな誤記も印象を左右します

また、意外と多いのが誤字や表記ゆれです。たとえば「キヤノン」を「キャノン」と書いてしまったり、「適性」を「適正」と書き間違えてしまうことは珍しくありません。ある学生は提出前に友人に読んでもらったことで誤記を指摘され、最終的に救われたと話していました。どんなに内容が良くても、こうした細かい点で印象を落とすのはもったいないことです。提出前には必ず「第三者の目」でチェックしてもらうことをおすすめします。


エントリーシートが求められる背景を理解する

就職協定廃止後、インターネットの普及によりエントリーは一気に自由化しました。その結果、企業には想像を超える数の応募が殺到しています。ある大手企業では、わずか数週間で数千件ものエントリーが届いたそうです。その中から限られた面接枠を決めるため、エントリーシートは「最初のふるい」として重要な役割を担っています。

もともとは面接を補完するツールでしたが、今では採用活動の中心的な選考ポイントにまで成長しました。だからこそ、一枚のエントリーシートに込める「あなたらしさ」が以前にも増して大切になっているのです。


人事担当者が読み取ろうとしているもの

人事担当者は、エントリーシートを通して「あなたはどんな人なのか」「どんな考え方をするのか」を探っています。

たとえば、アルバイトでの経験を書くとき。単に「接客を頑張りました」と書くよりも、「忙しい時間帯にスタッフ同士の連携不足でクレームが発生し、その解決のために自分が提案した取り組み」を書いた学生がいました。そこには「問題をどう捉え、どう解決に動いたのか」という思考回路が示されています。読み手はその姿勢から「この学生は現場で力を発揮できる」とイメージできるのです。


エントリーシートは「あなた自身のカタログ」

就職活動は企業と学生の「出会いの場」であり、商談にも似ています。商品にカタログがあるように、あなた自身を紹介するカタログがエントリーシートです。

ある学生は、留学経験を書こうとしましたが、最初は「英語力を高めた」としか書けませんでした。そこで「現地で意思疎通できず悔しかった」「どうすれば伝わるか考え、身振りや表情を工夫した」という具体的な経験を加えたところ、人事担当者から「現場で工夫して成果を出す力がある」と高く評価されました。データや事実だけでなく、そこにある感情や工夫を伝えることで、ぐっと魅力的な“あなたのカタログ”になります。


あなたの言葉で未来は拓ける

就活は、時に不安や迷いがつきものです。でも大切なのは「うまく書くこと」ではなく「自分の想いを正直に届けること」です。人事担当者は完璧な文章を求めているのではなく、「あなたという人間」を知りたいのです。

小さな経験でも大丈夫。そこにあなたの考えや気持ちが込められていれば、それは唯一無二の強みになります。どうか自信を持って、一枚一枚に心を込めてください。きっと、その誠実さは伝わります。

あなたの未来を応援しています。


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